犬の乳腺癌(CMC)は、多様な生物学的挙動を有する様々な病理組織学的サブタイプを示す。病期、悪性度、サブタイプ、浸潤の有無など、いくつかの個別因子が予後を予測する。しかし、これらの因子がどのように相互作用し、予後に影響を与えるのかはあまり知られていない。本研究の目的は、CMCにおける包括的なバイオスコアリングシステムを開発し、検証することである。2つの前向き研究で治療を受けた127頭のCMCの犬の臨床および病理組織学的データを得た。すべての犬は、標準化された術前の病期分類、治療、および定期的なフォローアップ診察を受けた。すべての腫瘍は、公表されたガイドラインに従って評価、分類、および等級付けされた。この研究では、原発性転移までの期間が主なエンドポイントであった。2つのバイオスコアリングシステムが開発された。多変量スコアリング(MVS)は、伝統的な統計解析に基づいており、多変量解析で有意な因子(腫瘍の大きさと悪性度)のみを最終モデルに残した。洗練された柔軟なスコアリング(RFS)システムは、サブグループ解析の結果に基づいて、柔軟なシステムを開発したものである。いずれのシステムでもバイオスコアの上昇に伴い、予後の進行的な悪化が観察された。MVS:バイオスコアが0から5、10、15、MVSグループ25、30、40のそれぞれ648、149、317の犬では、一次転移のない生存期間(TTM1日)の中央値に達しなかった。同様に、RFSが0、1、2の犬と、バイオスコアが3、4、5の犬では、それぞれ374、407、149でTTM1に達しなかった。しかし、RFSでは転移リスクの高い犬と低い犬がより明確に分かれており、転移リスクに関する総合的な予後判定が優れていることが示唆された。