RAD51は、BRCA2と複合体を形成し、相同組換えに関連するDNA損傷応答経路において中心的な役割を果たしている。RAD51とそのホモログの構造は、原核生物から高等真核生物まで高度に保存されている。BRCA2の変異は数多く報告されているが、RAD51の変異については、ヒトやイヌでは数少ない報告しかされていない。しかし、最近の研究で、イヌのRAD51のいくつかの変異が乳腺腫瘍組織から同定された。これらの変異のいくつかは、ホモオリゴマー化や「Partner and localizer of BRCA2」(PALB2)との相互作用に影響を与えていると思われる。本研究では、犬のPALB2ホモログをクローニングし、RAD51変異体の機能の変化を評価するために、RAD51変異体との相互作用への影響を調べた。RAD51のA209SおよびT225S変異体では、RAD51とPALB2の相互作用が減衰していた。これらの結果から、イヌのRAD51変異体は、DNA損傷に対する相同組換え経路を変化させる可能性があることがわかった。