本研究では、犬の乳腺を切除して得られたマクロおよびミクロ石灰化のマイクロトモグラフィーによる特性評価を行った。ヒトの乳がんでは、微小石灰化は診断と予後に大きく関係しており、しばしば生検を決定する唯一の要素となっている。イヌの乳腺腫瘍はヒトの乳がんのモデルと考えられているが、この種の乳がんでは石灰化の形態学的特徴はまだ研究されていない。本研究の目的は、犬の乳腺の石灰化の特徴を明らかにすることである。本研究では、33匹の雌犬の切除された乳腺に透視検査を行った。そのうち30個のサンプルでは石灰化の存在が疑われ、これらの部位から複数の生検を行った。生検片はマイクロトモグラフィースキャンを行った。微小石灰化は,ヒトで起こることが知られているように,非腫瘍性の腺組織,良性および悪性の病変に見られた。画像化された石灰化の形態に関する定性的な評価では、多形性や形状など、BI-RADS 2013の分類に基づく乳がんの所見との類似性が認められた。また、体積、表面、表面/体積、SMI、構造体の厚さなどの定量的な形態パラメータについては、巨大石灰化を考慮しても差は見られなかった。しかし、悪性犬の乳腺腫瘍の微小石灰化と他の2つのグループとの間では、これらのパラメータに有意な差が存在したが、非腫瘍性腫瘍と良性腫瘍との間では何の差も認められなかった。この結果は、微小石灰化がヒトにおいて臨床的に重要であることを考慮すると、この自然発生的な動物モデルをヒトの乳がんの研究に使用することを支持するものである。