「転移性疾患の同定は、新生物患者の治療と予後に決定的な影響を与える。腫瘍リンパを流すセンチネルリンパ節または第一リンパ節を同定するための複数の技術が存在する。センチネルリンパ節を特定することで、リンパ節転移を判定するための正確な組織採取が可能となる。本研究の目的は、頭頸部に腫瘍を持つ犬のセンチネルリンパ節を同定するためのコンピュータ断層撮影(CT)プロトコルを開発することであった。また、CTによる間接的なリンパ節撮影を、リンパシンチグラフィーおよびバイタル色素注入と比較し、どちらの手法がより確実にセンチネルリンパ節を特定できるかを検討した。ヨード化造影剤の胸腔内注入によるCT間接リンパ撮影では,18頭中8頭で排液リンパ管が確認され,18頭中5頭でセンチネルリンパ節が確認された。ヨード化した造影剤の4象限周囲注入を用いたCT間接リンパ撮影では、20頭中18頭で排液リンパ管を同定し、20頭中11頭でセンチネルリンパ節を同定した。バイタル色素注入法とリンパシンチグラフィでは,それぞれ18頭中17頭,20頭中20頭でセンチネルリンパ節が同定された。識別されたセンチネルリンパ節は、原発腫瘍の同側または両側にあった。どちらのCT技術も安全で簡単であることがわかった。CTを用いて様々な頭頸部癌のセンチネルリンパ節を検出するためには、腫瘍周囲注射が最も有望であり、一方、リンパシンチグラフィは比較した技術の中で最も成功していた。