小型犬では、ドキソルビシン、ミトキサントロン、メルファランの化学療法による骨髄抑制のリスクが高まることが知られている。このレトロスペクティブな研究では、体重15kg未満および10kg未満の犬が、体重15kg以上の犬と比較して、カルボプラチンによる化学療法後に骨髄抑制の程度が大きいかどうかを調べることを目的とした。様々な悪性腫瘍のためにカルボプラチンを投与された犬110頭をレトロスペクティブに分析した。体重10kg未満の犬8頭(61%)、10kg以上15kg未満の犬3頭(38%)、15kg以上の犬14頭(17%)がグレード3または4の好中球減少症を経験した。体重10kg未満の犬が5頭(38%)、体重10kg~15kg未満の犬が2頭(25%)、体重15kg以上の犬が13頭(16%)、グレード3または4の血小板減少症を経験した。体重10kg未満の犬は、体重10kg以上の犬に比べて、カルボプラチン投与後にグレード3または4の好中球減少症を発症する可能性が有意に高かった(3.5 RR;95% CI, 1.9-6.3;P < 0.001)。体重15kg未満の犬は体重15kg以上の犬に比べてグレード3または4の好中球減少症を発症する可能性が有意に高かった(3 RR;95% CI, 1.6-5.6;P = 0.004)。体重10kg未満の犬は、体重10kg以上の犬に比べて、グレード3または4の血小板減少症を発症する可能性が有意に高かった(2.5 RR;95% CI, 1.1-5.6;P = 0.006)。入院の可能性は、体重10kg未満と10kg以上の犬では有意に高く(P = 0.014)、体重15kg未満と15kg以上の犬でも同様であった(P = 0.039)。本研究では、体重15kg未満の犬、特に体重10kg未満の犬において、カルボプラチンによる骨髄抑制のリスクが高まることが示された。この情報は、臨床医が体の小さい犬、特に15kg未満の犬のカルボプラチンの初期投与量を決定する際に考慮すべきである。