最近の文献によると、犬のリンパ腫を分類するための信頼できるツールとして、フローサイトメトリーによるKi-67の測定と免疫表現型の組み合わせが提案されている。組織学的サンプルを用いた免疫組織化学(IHC)は、Ki-67指数を評価するゴールドスタンダードな手法である。IHCとFCMによるKi-67指数の一致については、これまで調査されていない。本研究の目的は,Ki-67発現/指数の評価におけるIHCとFCMの一致を調査し,FCMが犬のリンパ腫における増殖活性の推定のための非侵襲的な代替法として役立つかどうかを評価することであった。診断的リンパ節切除術を受けた前治療歴のない犬のリンパ腫の犬を前向きに登録した。Ki-67の発現/指数をFCMとIHCで評価し、陽性細胞の割合で表した。病理組織学的に分類された39頭の犬が、組み入れ基準に合致した。いずれの方法でも、Ki-67の発現/指数は中/高悪性度リンパ腫で高かった。Spearmanの相関係数はρ = 0.57; (95% CI0.33-0.75)で、中程度の相関があることが示唆された。Bland-Altmanプロットでは、負の定数バイアスは-3.55(95%CI:-10.52〜3.42)、一致の限界は-45.71〜38.61であった。本研究では、FCMとIHCで評価したKi-67発現/指数の値は、信頼区間が広いものの、一致していることが確認された。しかし、一部の症例では不一致が見られた。可能性としては、IHCのKi-67指数はスライドの最も増殖している部分で決定されるため、サンプリングバイアスが生じる可能性があるが、FCMは細胞懸濁液中のより多くの細胞を評価する。この現象を調べるためには、さらなる研究が必要である。