びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、イヌに最も多く見られる造血器腫瘍であり、ヒトのリンパ腫の臨床モデルとして認識されている。近年、好中球対リンパ球(NLR)とリンパ球対単球(LMR)の比率が、CHOP療法を受けたイヌのDLBCLにおけるtime-to-progression(TTP)とリンパ腫特異的生存(LSS)を予測することが示されている。我々は、DLBCLと診断された59頭の犬を対象に、血液学的パラメータとその比率の予後をレトロスペクティブに評価した。NLR、LMR、血小板リンパ球比(PLR)および血小板好中球比(PNR)は、TTP、LSS、および関連する副次的評価項目(time-to-progression-rate[TTPR]およびlymphoma-specific survival-rate[LSSR])に対する180日および365日後の率として評価した。PNRはTTPR/180日および365日の独立した予後マーカー(p≦0.001)であり、PNRが0.032以上の犬は180日以前に進行する可能性が高かった(感度46.5%、特異度87.5%、p=0.004)。単変量解析では、NLRはLSSR/180(p=0.006)およびLSSR/365(p=0.009)で予後の有意性を示した。ベースラインのNLR値が7.45以下であることは、180日後の生存率と正の相関があった(感度52%、特異度85.3%、p=0.025)。サブステージbの存在は、早期の進行と180日後の生存率の低下に関連していた(p = 0.031)。貧血は365日後のLSSRを有意に低下させた(p=0.028)。本研究は、犬のDLBCLにおけるPLRとPNRを評価した初めての研究であり、PNRが早期のリンパ腫進行の予測因子となりうることを示している。末梢血細胞の組成は、がん以外のいくつかの原因によって影響を受ける可能性があるため、均質な組み入れ基準を用いた大規模な多施設研究を展開することで、CHOP化学療法を受けた犬のDLBCLにおける血球比率の真の予測値をより明確にすることができるだろう。