犬の肥満細胞腫(MCT)の病期診断において、肝および脾の細針吸引(FNA)細胞診を伴うルーチンの腹部超音波検査(US)の重要性については、相反する証拠が存在する。本研究の目的は、厳密に定義された高リスクMCTの犬において、超音波検査と細胞診の所見を相関させ、転帰に与える影響を明らかにすることである。我々の仮説は、高リスクのMCTにおいては、超音波検査では内臓への転移を十分に予測できず、転移が認められない場合と比較して、早期転移は転帰の改善と関連するというものであった。肝臓と脾臓のUSは細胞学的結果と相関しており、転移なし、早期転移、顕在化した転移に分類された。プロスペクティブに登録された82頭の犬のうち、18%が内臓への早期転移、7%が細胞診でのovert metastasisを認めた。内臓への転移を認めた67%がLNへの局所転移を認めた。USは、脾臓に対する感度、特異度、陽性予測値、陰性予測値がそれぞれ67%、68%、21%、94%、肝臓に対する感度、特異度、陽性予測値、陰性予測値がそれぞれ29%、93%、56%、82%と、転移の予測因子としては不十分であった。転移のない犬、早期転移の犬、顕在化した転移の犬の進行までの期間(TTP)の中央値は、それぞれ305日、69日に達しなかった(P < 0.001)。3群の生存期間(MST)の中央値は到達せず、それぞれ322日と81日であった(P < 0.001)。PatnaikまたはKiupelグレードが高いこと、早期の転移、顕在化した転移、十分な局所制御が転帰と有意に関連していた。早期の内臓転移は、転移のない犬に比べて転帰が悪いことと関連していたが、一部の犬では長期的なコントロールが可能であった。