Epithelial membrane antigen(EMA)は、ヒトの髄膜腫の診断用免疫組織化学マーカーとして最も広く用いられているものの一つである。現在までに、犬の髄膜腫のホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織サンプルにおけるEMAの発現に関する発表された研究はない。ここでは、モノクローナル抗ヒトEMA抗体を用いて、25のFFPE犬髄膜腫の免疫組織化学的研究を行った結果を報告する。すべての髄膜腫は細胞質パターンでEMAの陽性染色を示し、9例では膜状の染色を伴っていた。染色の面積と強度は症例によって大きく異なっていた。腫瘍のサブタイプ/悪性度と染色面積/強度との間に明確な関係は認められなかった。しかし、上皮性のパターンは、間葉性のものに比べてEMAとの高い親和性を示した。本研究は、犬の髄膜腫におけるこのマーカーの診断的応用の可能性を探るための基礎となる。このマーカーの特異性を評価するためには、犬の他の中枢神経系腫瘍におけるEMAの発現を調査する必要がある。