犬の口腔悪性黒色腫(OMM)では,腫瘍のステージが予後に重要であることが示されている。人の頭頸部腫瘍の病期診断には、ポジトロン・エミッション・トモグラフィー/コンピュータ断層撮影(PET/CT)による様々な評価法が報告されているが、犬に特化したデータは限られており、CTの精度に関する報告も様々である。この前向き研究では,細胞学的または組織学的にOMMと診断されたクライアント所有の犬の頭頸部を18F-FDG(18F-Fluorodeoxyglucose)PET/CTで撮影した。病理組織学的評価のために両側下顎リンパ節切除を行った。CTとPETの2つの評価法を4人の独立した観察者が適用した。CTの評価には、標準化された評価方法と主観的な臨床解釈の両方が用いられた。PETの評価は、まず、口腔を除いて切り取ったスキャンで、バックグラウンドと比較したリンパ節の18F-FDGの取り込み量のみで行った。その後、頭頸部全体のスキャンと標準化された取り込み値(SUV)の測定が可能となった。病理組織学をゴールドスタンダードとして、受信者動作特性解析を行った。12頭の犬がこの研究を完了し、5頭の犬の6つの下顎リンパ節に転移性OMMが確認された。CT解釈技術の中では、臨床的グレーディングの使用が最も優れていた(感度=83%、特異度=94%)。いずれのPET技術も感度は100%であったが、原発巣の評価とSUVの使用により、特異度は78%から94%に上昇した。また、SUVmaxのカットポイントである3.3では、感度100%、特異度83%となった。この犬の集団では、PETは高感度であるが、適切なパラメータと閾値を使用しないと特異度が低下する危険性があるようだ。