クラスターリン(CLU)は、アポリポ蛋白質Jとしても知られ、広く発現しているヘテロ二量体の糖蛋白質であり、腫瘍形成、アポトーシス、免疫調節に重要な役割を果たしている。ヒトでは、CLUの発現は未分化大細胞リンパ腫およびホジキンリンパ腫と関連している。本研究では、ウエスタンブロットと酵素結合免疫吸着法(ELISA)を用いて、多中心性リンパ腫(MLSA)の犬の血清CLU濃度を健常対照犬と比較した。ウェスタンブロット法により、犬血清中に予測された分子量のCLUが存在することが確認され、検出された相対レベルはELISA法で検出されたレベルと相関があった。ELISA法によるCLUレベルの分析では、MLSAの治療を受けていない犬は、健康なコントロールと比較して、血清中のCLUレベルが有意に(P < 0.001)低かった。しかし、治療前のMLSA犬と完全寛解中のMLSA犬の間には有意な差はなかった。血清CLU濃度には大きなばらつきがあるため、MLSAの単一のバイオマーカー候補としては限界があるかもしれないが、血清CLU濃度の予後予測値はまだ評価されていない。