犬のがんでは、循環している25-ヒドロキシビタミンD(25[OH]D)の減少と炎症マーカー濃度の上昇が別々に報告されている。この2つの相関関係はヒトでは存在するが、イヌでの関連性を調べた研究はほとんどない。本研究では、健康な犬とがんの犬の血漿25(OH)Dと炎症性マーカー濃度を測定し、それぞれのグループにおける相関関係を評価することを目的とした。三次腫瘍センターに来院したB細胞リンパ腫(B-cell、n = 25)、T細胞リンパ腫(T-cell、n = 9)、骨肉腫(OSA、n = 21)、肥満細胞腫(MCT、n = 26)と新たに診断された犬と、健康な犬(n = 25)を登録した。血漿サンプルは、25(OH)D、C反応性タンパク質(CRP)、ハプトグロビン(HP)、血清アミロイドA(SAA)、α-1-酸糖タンパク質(AAG)、および13種類のケモカインとサイトカインについて分析された。B細胞を持つ犬は、健康な犬と比較して、血漿25(OH)Dが減少し(P = 0.03)、血漿CRP、AAG、HP、KC-like、MCP-1の濃度が増加した(それぞれP < =.001、.011、<.001、.013、.009)。血漿中のCRP、HP、SAA濃度は、健常犬と比較してOSAの犬で上昇していた(それぞれP = .001、.010、.027)。T細胞とMCTを持つ犬では差が見られなかった。血漿25(OH)D濃度とAAG濃度の間には負の相関関係が認められた。血漿中の25(OH)D濃度と以下の項目との間に負の相関が認められた:T細胞を持つ犬のAAG濃度(Rs=-0.817、P=0.007)、OSAを持つ犬のGM-CSF濃度(Rs=-0.569、P=0.007)、OSAを持つ犬のIL-7濃度(Rs=-0.548、P=0.010)。B細胞患者では、25(OH)D濃度の低下と複数の炎症マーカーの濃度上昇が観察され、25(OH)Dと炎症の関連性が支持された。横断的な研究デザインであったため、変化の時期を特定することはできなかった。前向きなコホート研究が必要である。