リンパ腫の犬における既知の予後因子の大部分は、治療開始前または診断時に評価されている。治療の初期段階で評価された予後因子はあまり記述されていないが、重要な臨床情報を提供する可能性がある。このレトロスペクティブ研究では、82頭の犬のリンパ腫患者を、診断時と5週間の化学療法後の体重変化に応じて分類した。初期体重の5%以上の増加または5%以上の減少を示した犬は、それぞれ体重増加群または体重減少群に分類された。体重の変化が5%未満の犬は体重維持群に分類した。体重増加群、体重維持群、体重減少群の無増悪生存期間(PFS)の中央値は、それぞれ226日、256日、129日であった。体重減少群は、体重増加群および体重維持群に比べて、PFSが有意に短かった(それぞれP = 0.023、P = 0.003)。体重増加群、体重維持群、体重減少群の生存期間(ST)の中央値は、それぞれ320日、339日、222日であった。3群間のSTには有意な差はなかった(P=0.128)。Cox回帰の結果、体重変化群と初期体重はPFSに関連する有意なリスク因子であったが(それぞれP=0.007、P=0.001)、患者の初期体重のみがSTに関連する有意なリスク因子であった(P=0.013)。結論として、多中心性リンパ腫の犬では、初期体重と体重の経時的変化を評価することで、PFSとSTに関する貴重な情報を得ることができる。