最近、猫の口腔扁平上皮癌(SCC)に対して、内科的治療と加速放射線治療を組み合わせたマルチモーダルなアプローチが、小規模なパイロット研究で大幅な治療成績の改善を示した。ここでは、切除不能で組織学的に確認された口腔扁平上皮癌で、初期の病期分類が完了した猫51頭をレトロスペクティブに検討した。A群(n = 24)の猫は、ブレオマイシン、ピロキシカム、サリドマイドからなる内科的な血管新生阻害治療を受け、B群(n = 27)の猫は、血管新生阻害治療と同時に48Gyを10回に分けて照射する加速低分割放射線療法を受けた。全体の無増悪期間(PFI)の中央値は70日(95%CI:48;93)と不良であった。しかし、放射線治療を受けた猫(B群)では、PFIが179日(95%CI:58;301)と有意に長く、内科的治療のみの猫では30日(95%CI:23;38)であった(P < 0.001)。全生存期間(OS)の中央値は89日(95% CI: 55;124)で、これも照射した猫(B群)では136日(95% CI: 40;233)対38日(95% CI: 23;54)と有意に長かった(P < .001)。しかし、B群の27頭のうち8頭(29.6%)で重度の毒性(グレード3)が発生した。毒性の発現や重症度は、解剖学的部位、腫瘍の大きさ、臨床病期、ネオアジュバント療法の期間など、試験した変数のいずれとも関連しなかった。化学放射線療法後の重篤な急性症状やQOLへの影響を考えると、患者は治療のリスクについて明確に知らされなければならない。全体的に予後が悪く、急性毒性の発生率が高いことから、猫の口腔内SCCに対して、この加速照射プロトコルと抗血管新生療法の併用を推奨することはできない。