メルケル細胞癌(MCC)は、ヒトとネコでは悪性の皮膚神経内分泌癌であるが、イヌではより良性の挙動を示す可能性があるとされている。細胞形態学的に顕著な類似性があるため、リンパ腫などの円形細胞腫と混同されることがある。MCCはメルケル細胞から発生すると考えられているが、最近の知見では、原始的な(表皮)皮膚幹細胞、初期のB細胞または皮膚線維芽細胞がヒトMCCの起源であることが示唆されている。本研究の目的は、ネコとイヌのMCCにおけるリンパ系由来の可能性を評価することである。3匹のネコと3匹のイヌのMCCにおいて、CD3、PAX-5、KITおよびPARRアッセイの特異的分析を行った。すべてのMCC(6/6)はCD3とPAX-5が陰性であった。KITはすべてのMCC(6/6)で発現していた。PARRアッセイによるクローン性の評価では、テストした5例すべてにおいて、ポリクローナルなB細胞およびT細胞受容体の再配列が認められた。結論として、ネコとイヌのMCCのリンパ系起源は証明されなかった。このことは、ヒトのMCCがしばしば初期のB細胞系マーカーを発現しているのと対照的である。